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袖すりあうも他生の嵐

嵐に癒され、大野智さんを尊敬する主婦のゆるいひとりごとです。

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若冲ミラクルワールド第2回:(大野智×茂木健一郎)篇

若冲ミラクルワールド「第2回 命のクリエイター 超細密画の謎」
BSプレミアム  4月26日(火)午後9:00~10:29 より

ドアを開けて白い部屋に入ってきたのはナビゲーター大野さん。黒のジャケット、インナーには髪の毛と同系色のプリントの施された白T。胸にはパンツと同系の葡萄色に白い水玉模様のチーフをのぞかせて…。

画面には『動植綵絵』「群鶏図」複製。


大野:おっ、これだー。きたー。これ好きだなー。いや、すごいな、やっぱり、いつ見ても。もうね、鶏の表情がなんかいちばん生きてる瞬間!みたいな。この中に、ここだけ正面の顔があるっていう。鶏の正面ってこういう顔だったんだとか…。もう、騒がしいですよね。だから、鶏の集まったときの動きが見えるというか。なんか、常にこうやって(前に出した左右の手をリズミカルに動かしながら)動いてる感じがするんだよなぁ。一回見るとずっと見ちゃうんだよなぁこの絵。離れられなくなっちゃうんだよなぁ、ずっと見てられるの。


やっぱり見れば見るほど目を離せなくなりますね。なぜ、若冲の絵にはここまで人を惹きつける力があるのでしょうか。


ナレーション:これぞ若冲究極の細密描写。堂々と羽根を広げる鶏。力強い躍動感に溢れています。一度見たら目を離せなくなる。不思議なそして圧倒的な存在感。そこには若冲のある周到な仕掛けが潜んでいます。…「群鶏図」にも主役はいません。どれも同じような大きさ。赤い鶏冠もよく似ています。この描き方が人を惹きつける不思議な力を生み出しているのです。…主役のいない構図、同じ大きさで違う向きの顔、刺激的な赤。それらがあいまって、ダイナミックな動きを感じさせていたのです。もう一つのトリック。この絵には遠近感を無くしてしまうという複雑なトリックが隠されています。絵に描かれている鶏が動き出しこちらに迫ってくる。「群鶏図」の巧みなトリックが作り上げた魔力です。ひと目見たら目を離せなくなる躍動する命。それを作り出したのは、若冲の天才的な仕掛け。そして一瞬を見ることに懸けた膨大な力でした。


再び、白い部屋の大野さん。部屋には若冲が描いたのによく似た鶏が一羽。

大野:鶏、こんな近くで鶏見たの初めてだ。すげー。

しゃがみこみ、床に両手を突いて鶏を覗き込む大野さん。

大野:こんちわー。

鶏のように頭をちょこんと揺らしてあいさつをすると、両手をしゃがんだひざの上において。

大野:あっ、鶏冠がすごいなぁ。きれいだなぁ。

鶏に近づいて床に腰を落とし、さらに視線を下げて、

大野:足は本物より若冲のほうが細かい気がする(笑)。

絵に顔を向けて、

大野:そうだよね、あの絵に(鶏の)正面があるからね。正面見せなさいよ。

鶏の正面を見ようといろいろ位置を変えて。

大野:正面なんて見えないよ、速すぎて。

鶏の動きに合わせて小刻みに顔を動かしながら。

大野:ほら。

鶏を抱いた大野さん、複製の前に連れて行くと、正面の絵の隣に本物の鶏を置いて見比べ。

大野:あ、あ~ぁ。若冲の絵は目が見開いてますね。こうやって見ると。




大野智×茂木健一郎(脳科学者で大の若冲ファン。対象を見つめる若冲の"眼”にひかれている)

大野:若冲というのは、鶏をどういう風に観察していたのかっていうのが、一番気になりますね。
茂木:そうですね。若冲の絵を見てすごいと思うのは…。例えば”鶏”っていう言葉があるじゃないですか。これ便利なようで、われわれ怠けてるところもあって、「あっ、にわとりだ!」って見て、それ以上あんまり細かとこ見ないでしょ。
大野:そうですね。
茂木:言葉で鶏だって片付けちゃうと、それ以上見ないっていうちょっとな怠け癖が脳にはあるんですけど、若冲の描く鶏って”この鶏”って気がするんだよね。鶏一般じゃなくて、まさに”この鶏”っていう。
大野:若冲はちゃんと鶏を知るまで描けなかったわけじゃないですか。
茂木:はい。
大野:それが何年も見続けたっていうのは、なんか…。僕そこにちょっと興味を持ったんですね最初、若冲の。見るという見方がなんか特別だったのかなっていうか。人と違うところを見ていたというか。
茂木:もともと人間の脳の回路の3分の1ぐらいは見ることに使われているっていわれてるんですね。生き物が生きるっていうこと、実は脳では動きを通して捉えてるんですね。しかも動きって毎回違うじゃないですか。
大野:そうなんですよ。鶏なんて特にこう(もうお馴染みになった手をリズミカルに動かすしぐさに頭の動きがついてまさに鶏の動き♪)動きが速いじゃないですか。だからその瞬間もとことん見たんですかねぇ。
茂木:見たんだと思います。で、見るうちにその情報がどんどんどんどん若冲の脳に蓄積されていって、まぁ何年見たかわかんないですね。5年見たのか10年見たのか。そしてやっと鶏が生きてるってのはこういうことなんだっていう情報が若冲の脳のなかに蓄えられたということだと思うんですよね。
大野:そうですねぇ。
茂木:だからある意味500時間1000時間見たら、500時間1000時間分の形の情報がグーッと圧縮されたときはじめて鶏が動いてるってのはこういうことなんだってわかる。
大野:だから想像しちゃうんですよね、見方とかも全部。
茂木:大野くんだったらどう見る?
大野:ボク多分、自分でやってみたりするタイプなんです。こうやって(頭を鶏の動きを真似てカクカクと動かしながら)(笑)。
茂木:(笑)今、タモリさんかと思ったよ。
大野:いやいや、なんかたぶんそう若冲もやったのかなぁとか、そういういろいろなことを考えますね。
茂木:(笑)どうですか、大野くんは個展やるくらい絵を描くわけじゃないですか。しかも細かく描くでしょ。
大野:細かく、描きますね、はい。
茂木:ある意味、画風が似てるといえば似てるわけですよ。
大野:ボク細かくは描くんですけど、どうしても”あ、ここはこんなもんでいいか”的なとこがやっぱりあるんですね。でも若冲の絵は一個もムラがないんですよね。
茂木:あぁ、それは本当に鋭いと思います。焦点が全部に当たってるんですよね。
大野:そう、そうなんですよ。
茂木:これがすごいです。逆に言うとね、我々も自分にとって大切な所を描くんです。例えば人間だと顔がやたらと大きかったりとか。
大野:そうですね。
茂木:これが、ある意味人間らしい絵の描き方なんですけど、大野くんの言うように、若冲って全部描いてるんですよね。
大野:描いてるんです。一回探したことあるんですよ。ムラはどこだ?でも本当に何もないんですよね。
茂木:大野くんが踊ったりするじゃないですか。
大野:はい。
茂木:我々、それを見てすごく感動しますよね。それってそこに込めてる努力っていうかエネルギーの量が伝わってくるわけですよ。嵐が踊ってるときに。若冲の絵も同じで、ものすごいエネルギーと時間をかけているから。生き物ってあるシグナルがあるときにその後ろにあるエネルギーの量が大きいとそれだけ真剣に受け止めるんですよね。
大野:はい。やっぱ若冲の中では何年も鶏を見たっていう積み重ね、で描いたっていうその、やっぱそれが出てるんでしょうね。ものすごく。
茂木:と、ボクは思います。伝わるんですよね、それが。
大野:ありますよね、それは。
茂木:伝わったでしょ、それは、最初に見たとき。
大野:本物見たときは、なんかもう固まりましたもん。
茂木:で、2時間?
大野:2時間(笑)。



鶏と会話し鶏の動きを真似る大野さん。茂木さんが「タモリみたい!」とおっしゃっていましたが、なるほど、なりきる雰囲気はイグアナの動きを忠実に真似るかつて見た事のあるタモリに似ていないともいえない。お2人に共通するのはゆるさと鋭さの絶妙なバランス。違うのは大野さんのビジュアル。少年のようなきめ細かい肌ときれいな瞳…。閑話休題。鶏を「にわとり」という言葉で片付けちゃうとそれ以上脳は考えない。大野さんはかつて、踊りは1回で覚えるより100回かけて覚えたほうがいい。といったことをおっしゃっていたように思います。生き物は踊りだったり絵だったりの裏側にこめられたエネルギー量の大きさを受け止めるとういうお話を真剣に聞く大野さんの凛々しいお顔が今も脳裏に焼きついています。それはすなわち、そのときの大野さんの後ろにあったエネルギーの量がとても大きかったということなのではないか。人を感動させるのは、話している言葉だけじゃない。聞いている表情から伝わるものもあるんだなって思いました。内側を刺激するたくさんの言葉と向き合って凛とした気品をただよわせた大野さんに胸キュン。

| 若冲ミラクルワールド | 08:44 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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