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袖すりあうも他生の嵐

嵐に癒され、大野智さんを尊敬する主婦のゆるいひとりごとです。

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若冲ミラクルワールド第4回:(大野智×狩野博幸)篇

若冲ミラクルワールド「第4回 黒の革命 水墨画の挑戦者」
BSプレミアム  4月28日(水)午後8:00~9:29 より

大野:江戸時代の天才絵師伊藤若冲、これまで数々の秘密を解き明かしてきましたが、なんと今日は最終回でございます。若冲が生きた街、京都に私やってまいりました。いやー、来ちゃいましたねぇ。この近くにですねぇ、美術館がありまして、若冲がすごい技を使って描いた水墨画の傑作がそこにあるということで、さっそくじゃあ若冲に会いに行きますか。


細見美術館

「群系図押絵貼屏風」
大野:わぁー、すごいなぁ。信じらんないよ。完璧だよなぁ。バランスといい、やっぱ動きがもう…、パッと見て鶏のなんて言うんだろう。(首を素早く右に振り)”フン”っていう感じがもう動いてるみたいですよ。でも水墨画の…、こんなカッコイイと思わなかったなぁ。この感じなんてもうたまらないじゃないですか、この感じ。

思わず、歩み寄って指さすのは若冲が一筆で描ききった躍動感あふれる尻尾の部分。

大野:しかもこれ、一発勝負ですもんね。それでこんなキレイに…。やっぱすっごいな。たぶん、すっごいんだろうなぁ。でも全部たぶん計算されてるんだろうなぁ。こことか…。

顔をさらに近づけたのは羽がふわりと膨らんだところ。

大野:こまかっ、すげぇなぁこれ。筆のタッチが…、これなんなんだろう。うわぁー、カッコいい~。

そのまま、畳に座り込んでしまった大野さん。

(こんな真近かでねぇ、しかも独り占めですから。)

大野:そうだ。

両手を口に添えて笑い出した大野さん。

大野:すげぇ、贅沢。水墨画のイメージが一気に変わりましたね。いやー、ボク水墨画ってちょっとにじんでる感じ、優しい感じ…。でも、これはもう筆も感じが信じらんないですね。「動植綵絵」、いろんな色を使ってるじゃないですか。でも、水墨画って黒しかないじゃないですか。黒しかないのにいろんな色に見えるんだよなぁ。こういう表し方ってはじめて見たな。黒だけでこの感じを出すっていうのがもう僕の発想になかったですねぇ。


大野:若冲は水墨画でかつて無い美を表現しようとした黒の革命家でもありました。大胆にして緻密。、幽玄にしてリアル。まずは若冲のあっと驚く若冲の水墨画の世界をご堪能ください。




大野智×狩野博幸
「果蔬涅槃図」 (かそ ねはんず) 京都国立博物館蔵
大野:先生、これどういう風に観ればよろしいですか?結構愉快というか楽しそうな絵に見えるんですけど。
狩野:そう、見えるんですね。でも実はそれがいろいろ別の意味があるんですね、この絵には。これ「果蔬涅槃図」 と言われるんですけど、「涅槃図」というのは、お釈迦さんがお亡くなりになるその瞬間、その現場を描いたのが「涅槃図」。
大野:「涅槃図」。

ナレーション:「涅槃図」とは釈迦臨終の場面の絵。釈迦の周りには、死を痛む弟子や動物たちが集まり悲しみ嘆いています。若冲はこの伝統的な画題をすべて野菜と果物にしました。

若冲の「果蔬涅槃図」と明兆(室町時代前・中期の画僧)の「大涅槃図」のレプリカを並べ見ながら。

大野:こちら「果蔬涅槃図」、「涅槃図」ですけど、でも先生言われてみればなんとなく分かりますねぇ。
狩野:ですよね。
大野:これ、大根がお釈迦様ですね。
狩野:そうそう。実は大根というのはどこを切っても真っ白でしょ。
大野:そうですね、はい。
狩野:だからこれは仏様のひとつの寓意になるわけ。大根を置いてることが本当に重要な意味を持っているわけですね。
大野:へぇ~。
狩野:だからこれを見てくださいよ。

狩野が指し示したのは、大根の下に描かれた黄芋。

狩野:なんか御釈迦さんのところににじり寄っていくような感じ。

その場にしゃがみこみ、覗き込む大野さん。

大野:そうですね。
狩野:分かりますか?
大野:雰囲気がもう…。
狩野:悲しみのあまり、御釈迦さんに近づいてるわけですね。
大野:これで表すっていうのはおもしろいですね。野菜でっていう…。へぇ~、おっもしろいなぁ。

芋

狩野:例えばね、ここに象が描かれてるでしょ。だいたいね位置っていうのは一緒なんですね、涅槃図では。見るとここに、昔のスイカですけれど…。
大野:なんか、象っぽいっすね。
狩野:そうです。これ(スイカの後ろの糸瓜を指して)が、象の鼻。
大野:野菜で表すっていうのは、これは斬新ですか。
狩野:そう。あんまりこういうの…。
大野:ないですよね。それがなんかねぇ、発想が若冲って感じですよ。
狩野:ちょうどこれが描かれるちょい前に若冲のお母さんが亡くなるんですよ。
大野:そうなんですか。
狩野:おそらくそれの一種菩提を弔うというんですか。そういうふうにして描かれたという見方もできるんですよ。
大野:そういう意味があるんですね、ちゃんと。いやー、でもおもしろいです。本当に。水墨画ってボク、こんなに、深いと思わなかったですね。「動植綵絵」と全然違うじゃないですか。若冲がやろうとしていた黒の革命というのは先生、どういうことなんですか?
狩野:私は若冲の水墨画をみていていつも思うのは、非常に自由ということですね。束縛なく描いていくという。精神の自由っていうのを死ぬまで求めた人じゃないですかねぇ。
大野:「自由」で描いた、でも突き詰めた。
狩野:みていておもしろいというか、見ていて精神が軽くなってくるじゃない。重々しくないでしょ。彼の場合は全然枯れるということがないんですよ。水墨画というとちょっと枯れたという感じがするでしょ。
大野:そうなんですよ。
狩野:だけど、若冲の場合、死ぬまで枯れるということはないですね。そこが僕は素晴らしいなあと思います。
大野:凄すぎますよね。



大野:4回に渡ってお送りした若冲ミラクルワールド、いかがでしたでしょうか。いやー、ねぇ。この4回、4回やりましたけど、よりなぞが深まりましたね。知れば知るほど、どんどん謎が増えていくという。だから本当の若冲の正体というか、顔っていうのはいったいどれなのかな?より謎が深まりましたね。この4回をきっかけにボクもこれからこの4回で見えなかった作品とかも見てですね…。ま、見ればまた謎が深まるでしょうね。それでもいいです。改めて若冲のすごさを感じました。


束縛なく精神の自由を死ぬまで求め作品を描き続け、突き詰めた人。母の死を弔うために描いた、「果蔬涅槃図」は青物問屋にふさわしく深い情愛を感じます。このシリーズ中、生きることすべてのきらめきを描ききった江戸の絵師若冲にずっと大野さんを重ね合わせていました。若冲の絵を見ると心が軽くなる。大野さんに惹かれる理由を言葉にすると、若冲を愛してやまない研究者達の言葉と重なるような気がします。そして、知れば知るほど謎が深まる。それは深く惚れこんでしまったことの証なんじゃないかって私は思います。


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