袖すりあうも他生の嵐

嵐に癒され、大野智さんを尊敬する主婦のゆるいひとりごとです。

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若沖ミラクルワールドふたたび。

今年('11年4月)BSプレミアムで放送された「若冲ミラクルワールド」が、特別編『嵐・大野智が体感!天才絵師』《新春1月9日(月)8:22-9:35 (NHK総合テレビ)》となってお茶の間に帰ってくる!→ テレビドガッチ


大野さんが見せた、キラキラした好奇心。夢中になってみたあの番組の未公開インタビューを交えながら大野さんの目線で若冲のミラクルワールドを案内してくれる。これは楽しみですね。↓ 




(NHK冬ナビへ)
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| 若冲ミラクルワールド | 10:31 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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若冲ミラクルワールド第4回:(大野智×狩野博幸)篇

若冲ミラクルワールド「第4回 黒の革命 水墨画の挑戦者」
BSプレミアム  4月28日(水)午後8:00~9:29 より

大野:江戸時代の天才絵師伊藤若冲、これまで数々の秘密を解き明かしてきましたが、なんと今日は最終回でございます。若冲が生きた街、京都に私やってまいりました。いやー、来ちゃいましたねぇ。この近くにですねぇ、美術館がありまして、若冲がすごい技を使って描いた水墨画の傑作がそこにあるということで、さっそくじゃあ若冲に会いに行きますか。


細見美術館

「群系図押絵貼屏風」
大野:わぁー、すごいなぁ。信じらんないよ。完璧だよなぁ。バランスといい、やっぱ動きがもう…、パッと見て鶏のなんて言うんだろう。(首を素早く右に振り)”フン”っていう感じがもう動いてるみたいですよ。でも水墨画の…、こんなカッコイイと思わなかったなぁ。この感じなんてもうたまらないじゃないですか、この感じ。

思わず、歩み寄って指さすのは若冲が一筆で描ききった躍動感あふれる尻尾の部分。

大野:しかもこれ、一発勝負ですもんね。それでこんなキレイに…。やっぱすっごいな。たぶん、すっごいんだろうなぁ。でも全部たぶん計算されてるんだろうなぁ。こことか…。

顔をさらに近づけたのは羽がふわりと膨らんだところ。

大野:こまかっ、すげぇなぁこれ。筆のタッチが…、これなんなんだろう。うわぁー、カッコいい~。

そのまま、畳に座り込んでしまった大野さん。

(こんな真近かでねぇ、しかも独り占めですから。)

大野:そうだ。

両手を口に添えて笑い出した大野さん。

大野:すげぇ、贅沢。水墨画のイメージが一気に変わりましたね。いやー、ボク水墨画ってちょっとにじんでる感じ、優しい感じ…。でも、これはもう筆も感じが信じらんないですね。「動植綵絵」、いろんな色を使ってるじゃないですか。でも、水墨画って黒しかないじゃないですか。黒しかないのにいろんな色に見えるんだよなぁ。こういう表し方ってはじめて見たな。黒だけでこの感じを出すっていうのがもう僕の発想になかったですねぇ。


大野:若冲は水墨画でかつて無い美を表現しようとした黒の革命家でもありました。大胆にして緻密。、幽玄にしてリアル。まずは若冲のあっと驚く若冲の水墨画の世界をご堪能ください。




大野智×狩野博幸
「果蔬涅槃図」 (かそ ねはんず) 京都国立博物館蔵
大野:先生、これどういう風に観ればよろしいですか?結構愉快というか楽しそうな絵に見えるんですけど。
狩野:そう、見えるんですね。でも実はそれがいろいろ別の意味があるんですね、この絵には。これ「果蔬涅槃図」 と言われるんですけど、「涅槃図」というのは、お釈迦さんがお亡くなりになるその瞬間、その現場を描いたのが「涅槃図」。
大野:「涅槃図」。

ナレーション:「涅槃図」とは釈迦臨終の場面の絵。釈迦の周りには、死を痛む弟子や動物たちが集まり悲しみ嘆いています。若冲はこの伝統的な画題をすべて野菜と果物にしました。

若冲の「果蔬涅槃図」と明兆(室町時代前・中期の画僧)の「大涅槃図」のレプリカを並べ見ながら。

大野:こちら「果蔬涅槃図」、「涅槃図」ですけど、でも先生言われてみればなんとなく分かりますねぇ。
狩野:ですよね。
大野:これ、大根がお釈迦様ですね。
狩野:そうそう。実は大根というのはどこを切っても真っ白でしょ。
大野:そうですね、はい。
狩野:だからこれは仏様のひとつの寓意になるわけ。大根を置いてることが本当に重要な意味を持っているわけですね。
大野:へぇ~。
狩野:だからこれを見てくださいよ。

狩野が指し示したのは、大根の下に描かれた黄芋。

狩野:なんか御釈迦さんのところににじり寄っていくような感じ。

その場にしゃがみこみ、覗き込む大野さん。

大野:そうですね。
狩野:分かりますか?
大野:雰囲気がもう…。
狩野:悲しみのあまり、御釈迦さんに近づいてるわけですね。
大野:これで表すっていうのはおもしろいですね。野菜でっていう…。へぇ~、おっもしろいなぁ。

芋

狩野:例えばね、ここに象が描かれてるでしょ。だいたいね位置っていうのは一緒なんですね、涅槃図では。見るとここに、昔のスイカですけれど…。
大野:なんか、象っぽいっすね。
狩野:そうです。これ(スイカの後ろの糸瓜を指して)が、象の鼻。
大野:野菜で表すっていうのは、これは斬新ですか。
狩野:そう。あんまりこういうの…。
大野:ないですよね。それがなんかねぇ、発想が若冲って感じですよ。
狩野:ちょうどこれが描かれるちょい前に若冲のお母さんが亡くなるんですよ。
大野:そうなんですか。
狩野:おそらくそれの一種菩提を弔うというんですか。そういうふうにして描かれたという見方もできるんですよ。
大野:そういう意味があるんですね、ちゃんと。いやー、でもおもしろいです。本当に。水墨画ってボク、こんなに、深いと思わなかったですね。「動植綵絵」と全然違うじゃないですか。若冲がやろうとしていた黒の革命というのは先生、どういうことなんですか?
狩野:私は若冲の水墨画をみていていつも思うのは、非常に自由ということですね。束縛なく描いていくという。精神の自由っていうのを死ぬまで求めた人じゃないですかねぇ。
大野:「自由」で描いた、でも突き詰めた。
狩野:みていておもしろいというか、見ていて精神が軽くなってくるじゃない。重々しくないでしょ。彼の場合は全然枯れるということがないんですよ。水墨画というとちょっと枯れたという感じがするでしょ。
大野:そうなんですよ。
狩野:だけど、若冲の場合、死ぬまで枯れるということはないですね。そこが僕は素晴らしいなあと思います。
大野:凄すぎますよね。



大野:4回に渡ってお送りした若冲ミラクルワールド、いかがでしたでしょうか。いやー、ねぇ。この4回、4回やりましたけど、よりなぞが深まりましたね。知れば知るほど、どんどん謎が増えていくという。だから本当の若冲の正体というか、顔っていうのはいったいどれなのかな?より謎が深まりましたね。この4回をきっかけにボクもこれからこの4回で見えなかった作品とかも見てですね…。ま、見ればまた謎が深まるでしょうね。それでもいいです。改めて若冲のすごさを感じました。


束縛なく精神の自由を死ぬまで求め作品を描き続け、突き詰めた人。母の死を弔うために描いた、「果蔬涅槃図」は青物問屋にふさわしく深い情愛を感じます。このシリーズ中、生きることすべてのきらめきを描ききった江戸の絵師若冲にずっと大野さんを重ね合わせていました。若冲の絵を見ると心が軽くなる。大野さんに惹かれる理由を言葉にすると、若冲を愛してやまない研究者達の言葉と重なるような気がします。そして、知れば知るほど謎が深まる。それは深く惚れこんでしまったことの証なんじゃないかって私は思います。


| 若冲ミラクルワールド | 12:46 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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若冲ミラクルワールド第3回:(大野智×山下裕二)篇

若冲ミラクルワールド「第3回 千年先を見つめた絵師 ボーダレスJAKUCHU」
BSプレミアム  4月27日(水)午後9:00~10:29 より



白い部屋に置かれたのは「鳥獣花木図屏風」の複製。


大野:きたねー、いやこれは新しいすっねぇ。にわとりはいるんだよ。『動植綵絵』とはまた別物ですねぇ。この四角いマスみたいのがなんか現れましたねぇ。今までこんなの無かったんだけどなぁ。こ、これなんだ?四角の中にまたなんか四角く描いてあるもん。どこなんだろう?これ。海外か?だって象とかいるしねぇ、トラもいるし。いやー、でもいろんな動物たちがいるなぁ~。日本の絵師なのになんか日本ぽくないんですよね。あぁ、またなんかやられた感じだなぁ。悩まされるぜ。いやー、不思議な絵だね。本当…。


なぜ、若冲はこんな不思議な絵を描いたのでしょうか?そして、そこにはどんな狙いが隠されているのか?まずは、この絵の持ち主を訪ねて海を渡りましょう。

ナレーション:日本絵画史上もっともアバンギャルドともいわれる「鳥獣花木図屏風」。若冲の中でも独特な作品です。…(若冲の絵とそっくりだったペルシャ絨毯のボーダーの模様は)楽園を取り囲むものだったのです。若冲が屏風に描いた動物達や鳥たちの世界。そこでは互いに傷つけあうことはありません。姿形も違う生き物が仲むつまじくしあわせなときを過ごしています。鎖国の時代、異国のものを貪欲に取り入れた若冲。そして作り上げたのはボーダレスな楽園でした。


大野:はぁー、なるほどね。これ楽園なんすね。これ全部。だから何でもいるんだ。それにしも相当、相当いますよね。サルでしょ、1。これトラだよね、2。ウサギ、…29、30、31、32、33、34…。あれ?今いくつだっけ?50いくつだっけ?52?…まあ、一杯いるってことですよ(笑)。ほら、ここなんか一杯いるもん。数えられないわ。細か!これ。うあぁ、やっぱ、若冲しかできないですよ。だってこんな同じことボクできないですもん。ここ!これもいるんだ。分かんなかった。これわかった!メロンっぽくないですか?うまそうだもん、メロン。動物以外の実がいっぱいあるんだよね、木の実っていうか。それもなんか南国っぽいんだよなぁ。相当斬新だよなぁ、これ絶対。だって、今のボクらが見ても「今の絵」って感じしますもん。アート、今のアートって感じするもんな。当時の人たちはこれを見た時どう思ったんだろうなぁ。



大野智×山下裕二(明治学院大学教授。若冲の斬新さに注目する美術史家)

バックには「鳥獣花木図屏風」
大野:若冲はこの新しいものを吸収して進化させる?
山下:うん。
大野:若冲のすごさって、いったいどっから来るかっていうか…。なんなんですかねぇ。
大野:うん、まぁいろんなものを取り込んでいますよねぇ。彼はほぼ独学に近い人だから。
大野:はい。
山下:流派とか当時の約束事とかにしばられることなく、なんでも自分の表現のために貪欲に取り入れることができた人なんですね。
大野:ほー。
山下:自分が納得できるまでそれを吸収して、しかも自分のものとして昇華させていくみたいな、そういう感じですよね。
大野:日本の画家じゃないですか。なんで、こういう海外の情報をどっから仕入れていたんですか?
山下:もちろんね、基本的には長崎経由のわけです。長崎だけが貿易港としてオランダとの通商の場だったわけね。だから、入り口はうんと狭かったわけですけども、その小さな窓口を通じて入ってくる情報を…。
大野:情報を若冲なりに?
山下:そう、情報が少ないゆえにかえってその情報に対する渇望感があるよね。
大野:逆にいろんないイメージが沸いてきたりだとか?
山下:そう。今の時代みたいにインターネットで瞬時に世界中のことがなんでも画像で見られるようだとかえってありがたみがないっていうか。
大野:それで終わってしまいますもんね。
山下:そう、ああそうなのねって。
大野:そうだよねって。
山下:終わってしまいますもんね。そうではなくて本当に乏しい情報であるがゆえにかえってそれが沁みるというかね。
大野:うん。
山下:そんな感覚だったと思います。当時の人にとってはね。
大野:なるほど。いやー、でも頭ん中いったい何が見えてるのかが…。
山下:本当にこれブッ飛んだ表現だからね。なかなかそう簡単には理解されなかったんですね。
大野:ああ、逆に。確かに。
山下:だけど若冲はね、きっと遠い将来に自分の絵がね、理解される日が来るはずだみたいなね、そういう言葉を残してるんですよ。

ふたりは次の間へ。大野さんがふすまを開けると、そこには一幅の掛軸が。
大野:あった。先生、これはいったいなんて読むんですか?
山下:せんざいぐがんのとをまつ(千載具眼の徒を竢つ)と読みますね。
大野:千載?
山下:千載というのは千年という意味ですね。具眼というのはよく見える人とでも言うのかな。よく分かる人。
大野:分かる人。
山下:いい目の人。要するに自分の絵を本当によく分かる人が千年後に出てくるであろうと。彼が描いた当時からね、若冲の絵はちゃんと評価はされていたんですよ。
大野:されてはいたんですね。
山下:もちろんね。だけど、”千年後に自分の絵が分かるだろう”っていうのは、彼の自信のあらわれでもありますね。
大野:なるほど。
山下:なまじ新しいことなんか目指してないんですよ。ちょっと新しいことをやってみようなんていうものはすぐ古くなっちゃうんだよね。だけど若冲の絵はね、100年経とうが1000年経とうがね、別にいつの時代とか関係なくね、今ここにあるものとしてね…、うん。
大野:カッコいいなぁ。


エンディング
大野:千年先の人々は、若冲の作品にどんな美を見出すのでしょうか。まだまだ私たちの知らない美が隠されているかもしれません…。


話しているうちにどんどん先生の顔が軟らかく楽しそうにそして生き生きしてくるのが分かります。好きな若冲の話をされているのだから当然かもしれませんが、目の前で話しているこの大野智という人が、若冲を愛しているからこそ、もっと言うなら若冲と重なるからこそ、こんなに楽しいのではないか。おふたりの対談を見ながら、大野さんの生き方が浮き彫りにされるようなワクワク感と感動に包まれました。大野智という人はね、別にいつの時代とか関係なくね、今ここにあるものとしてその時代の人たちに受け入れられるんだろうね…。カッコいいなぁ。



いつも拍手をありがとうございますm(_ _)m
よい一日を♪

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若冲ミラクルワールド第2回:(大野智×辻惟雄)篇

若冲ミラクルワールド「第2回 命のクリエイター 超細密画の謎」
BSプレミアム  4月26日(火)午後9:00~10:29 より

(大野智×茂木健一郎)篇はこちら。


大野智×辻惟雄(美術史家。美術史にうもれていた若冲を再評価した若冲研究の第一人者)

大野:ボクは若冲っていう人はすごい自分に厳しい人だったのかなとも絵からみて思ったりもするんですけど。
辻:あることを成し遂げようとすると、ものすごく集中して一生懸命やるような、ものすごく真面目な人であり、しかし一方で大変ユーモアを持った、ユーモリストというのか、そういう面もあった人なんです。たとえばここに「貝甲図」というのがあるんですけどね。これも海辺に打ち寄せられて、引き潮でこう流された貝という見立てなんですけれども、こういうふうに真面目に描いているような絵でもねぇ、その中にも茶目っ気というか面白い遊びをしてるんですね。
大野:はい。

辻さんの指差すほうを覗き込む大野さん。

辻:波の下にちょっと貝が顔を出してるでしょ。
大野:はい。
辻:これが目でこれが口ですよね。
大野:はい。
辻:すると、お化けがすっと顔を出すんですね(笑)。
大野:ああ、お化けにも見えるという(笑)。
辻:ここんとこに大きな貝があるでしょ。
大野:そうですね。
辻:これもなんか変なんでねぇ。なんかみてると、これが歯に見えますよねぇ。
大野:そうですね、なんか。
辻:牛の頭の骨みたいな。
大野:そうですね。楽しんでるんでしょうかねぇ。
辻:楽しんでますね。
大野:なんかすごく、描いてる中でこういう発想が出てきたのかなぁとも思うんですけど。これ全部計算なんですか?
辻:あのねぇ、計算というよりもこういう風に見えちゃうっていうかねぇ描けちゃうんですよね。彼はときどき他の絵でもこういうことをやっています。
大野:はー、紅葉の赤い葉のやつ(紅葉小禽図)。あの完璧な。でもあれでも枝がこう(指で円を描きながら)丸まってるじゃないですか。
辻:あぁ、枝が丸まっているっていうのはねぇ(指で円を作りながら)縁起の良いっていうことだったらしい…。でも実際あんな枝あるんでしょうかねぇ。
大野:ボクも見たことないから。
辻:(いかにも楽しそうに笑う)
大野:でも、そういうことをやりつつ、他の紅葉の葉っぱは完璧だから。
辻:そうそう。
大野:それがボク、おかしくってしょうがない。
辻:おかしいねぇ(笑い)。やっぱり見てると笑えるところがあるでしょ。
大野:そうなんですよね。

画面は「群魚図」

辻:この親ダコと子ダコ。同じ形をして、この足にキュッとしがみ付いているなんていうのは。
大野:実際いないですもんね。これが好きですね、ボクも。
辻:そうですねぇ。
大野:そうするとユーモアがあった方なんですよね。
辻:そうです。いやー、本当に大野くんと私は半世紀ぐらい年が隔たっているんだけれども、それでいて同じ若冲のことでこんなに話し合えるのはうれしいことで。
大野:いえー、本当に。
辻:若冲っていうのはねぇ。あんたのように若い世代にもっと受け継がれ語り継がれていったら本当にうれしいことだなぁ。
大野:本当にこれ、知ってほしいんですよね。ただの絵じゃないっていう。  若冲が「動植綵絵」30幅で伝えたかったメッセージっていうのはいったい…。
辻:彼はそのことについて言葉ではなんにも言ってないんですよ。ただ相国寺っていう禅寺に奉納するって言ってるだけですけれども。ただ絵を楽しんで描いているだけじゃなくて、なんかもう一つ大きな目的があって描いているんだっていう気がしてきましたねぇ。「草木国土悉皆成仏」という言葉がありまして。若冲が描いたのは鳥であり魚であり虫であり花であり木であるという。そういうものは全部仏の世界、ひとつひとつにみんな仏が宿っているという考えなんですけど。そうやってみればですねぇ、あなたが言うようにブレがないように隅から隅まで全部描き尽くしたっていうのは、ひとつも逃すまいよと思ってね、描いていると、そういう風に私は思うんですけどね。
大野:もうだからあの全部、草だったり、鶏があり草があるけれども、それも全部仏なんだぞというメッセージだと。
辻:そうだと思います。
大野:だからムラがないんですよね。
辻:そうだと思います。
大野:はぁー、やっぱすごい。深いなぁ。いやー、でも、あの30幅を描いてる中でやっぱり若冲っていうのが描いてる10年間のうちでどんどんどんどんいろんなものが見えてきたんでしょうね。
辻:われわれが、いくら熟視しても見えないものが見えてくるということがあったでしょうね。
大野:はい。ムラがないっていう理由の一つに全部が仏、成仏できるっていう…。やっぱ、そこが強かったんでしょうね。
辻:そうそうそうそう。


このおふたり、対談の最後のほうは穏やかで温かく楽しげでありながら深くお互いの心を知っている親友同士のようなオーラを出していて、その会話に惹きこまれました。若冲の絵に出てくるあらゆるものに向けられたまったく手抜きのない完璧さは、「草木国土悉皆成仏」という日本古来の考えを突き詰めた上にあった。全部が仏。大野さんの曇りのない眼差しが見据えているのはまさにそこ。すべてのものに平等に注がれる真直ぐな眼差し。伊藤若冲も深いが大野智もまた深いです。

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若冲ミラクルワールド第2回:(大野智×茂木健一郎)篇

若冲ミラクルワールド「第2回 命のクリエイター 超細密画の謎」
BSプレミアム  4月26日(火)午後9:00~10:29 より

ドアを開けて白い部屋に入ってきたのはナビゲーター大野さん。黒のジャケット、インナーには髪の毛と同系色のプリントの施された白T。胸にはパンツと同系の葡萄色に白い水玉模様のチーフをのぞかせて…。

画面には『動植綵絵』「群鶏図」複製。


大野:おっ、これだー。きたー。これ好きだなー。いや、すごいな、やっぱり、いつ見ても。もうね、鶏の表情がなんかいちばん生きてる瞬間!みたいな。この中に、ここだけ正面の顔があるっていう。鶏の正面ってこういう顔だったんだとか…。もう、騒がしいですよね。だから、鶏の集まったときの動きが見えるというか。なんか、常にこうやって(前に出した左右の手をリズミカルに動かしながら)動いてる感じがするんだよなぁ。一回見るとずっと見ちゃうんだよなぁこの絵。離れられなくなっちゃうんだよなぁ、ずっと見てられるの。


やっぱり見れば見るほど目を離せなくなりますね。なぜ、若冲の絵にはここまで人を惹きつける力があるのでしょうか。


ナレーション:これぞ若冲究極の細密描写。堂々と羽根を広げる鶏。力強い躍動感に溢れています。一度見たら目を離せなくなる。不思議なそして圧倒的な存在感。そこには若冲のある周到な仕掛けが潜んでいます。…「群鶏図」にも主役はいません。どれも同じような大きさ。赤い鶏冠もよく似ています。この描き方が人を惹きつける不思議な力を生み出しているのです。…主役のいない構図、同じ大きさで違う向きの顔、刺激的な赤。それらがあいまって、ダイナミックな動きを感じさせていたのです。もう一つのトリック。この絵には遠近感を無くしてしまうという複雑なトリックが隠されています。絵に描かれている鶏が動き出しこちらに迫ってくる。「群鶏図」の巧みなトリックが作り上げた魔力です。ひと目見たら目を離せなくなる躍動する命。それを作り出したのは、若冲の天才的な仕掛け。そして一瞬を見ることに懸けた膨大な力でした。


再び、白い部屋の大野さん。部屋には若冲が描いたのによく似た鶏が一羽。

大野:鶏、こんな近くで鶏見たの初めてだ。すげー。

しゃがみこみ、床に両手を突いて鶏を覗き込む大野さん。

大野:こんちわー。

鶏のように頭をちょこんと揺らしてあいさつをすると、両手をしゃがんだひざの上において。

大野:あっ、鶏冠がすごいなぁ。きれいだなぁ。

鶏に近づいて床に腰を落とし、さらに視線を下げて、

大野:足は本物より若冲のほうが細かい気がする(笑)。

絵に顔を向けて、

大野:そうだよね、あの絵に(鶏の)正面があるからね。正面見せなさいよ。

鶏の正面を見ようといろいろ位置を変えて。

大野:正面なんて見えないよ、速すぎて。

鶏の動きに合わせて小刻みに顔を動かしながら。

大野:ほら。

鶏を抱いた大野さん、複製の前に連れて行くと、正面の絵の隣に本物の鶏を置いて見比べ。

大野:あ、あ~ぁ。若冲の絵は目が見開いてますね。こうやって見ると。




大野智×茂木健一郎(脳科学者で大の若冲ファン。対象を見つめる若冲の"眼”にひかれている)

大野:若冲というのは、鶏をどういう風に観察していたのかっていうのが、一番気になりますね。
茂木:そうですね。若冲の絵を見てすごいと思うのは…。例えば”鶏”っていう言葉があるじゃないですか。これ便利なようで、われわれ怠けてるところもあって、「あっ、にわとりだ!」って見て、それ以上あんまり細かとこ見ないでしょ。
大野:そうですね。
茂木:言葉で鶏だって片付けちゃうと、それ以上見ないっていうちょっとな怠け癖が脳にはあるんですけど、若冲の描く鶏って”この鶏”って気がするんだよね。鶏一般じゃなくて、まさに”この鶏”っていう。
大野:若冲はちゃんと鶏を知るまで描けなかったわけじゃないですか。
茂木:はい。
大野:それが何年も見続けたっていうのは、なんか…。僕そこにちょっと興味を持ったんですね最初、若冲の。見るという見方がなんか特別だったのかなっていうか。人と違うところを見ていたというか。
茂木:もともと人間の脳の回路の3分の1ぐらいは見ることに使われているっていわれてるんですね。生き物が生きるっていうこと、実は脳では動きを通して捉えてるんですね。しかも動きって毎回違うじゃないですか。
大野:そうなんですよ。鶏なんて特にこう(もうお馴染みになった手をリズミカルに動かすしぐさに頭の動きがついてまさに鶏の動き♪)動きが速いじゃないですか。だからその瞬間もとことん見たんですかねぇ。
茂木:見たんだと思います。で、見るうちにその情報がどんどんどんどん若冲の脳に蓄積されていって、まぁ何年見たかわかんないですね。5年見たのか10年見たのか。そしてやっと鶏が生きてるってのはこういうことなんだっていう情報が若冲の脳のなかに蓄えられたということだと思うんですよね。
大野:そうですねぇ。
茂木:だからある意味500時間1000時間見たら、500時間1000時間分の形の情報がグーッと圧縮されたときはじめて鶏が動いてるってのはこういうことなんだってわかる。
大野:だから想像しちゃうんですよね、見方とかも全部。
茂木:大野くんだったらどう見る?
大野:ボク多分、自分でやってみたりするタイプなんです。こうやって(頭を鶏の動きを真似てカクカクと動かしながら)(笑)。
茂木:(笑)今、タモリさんかと思ったよ。
大野:いやいや、なんかたぶんそう若冲もやったのかなぁとか、そういういろいろなことを考えますね。
茂木:(笑)どうですか、大野くんは個展やるくらい絵を描くわけじゃないですか。しかも細かく描くでしょ。
大野:細かく、描きますね、はい。
茂木:ある意味、画風が似てるといえば似てるわけですよ。
大野:ボク細かくは描くんですけど、どうしても”あ、ここはこんなもんでいいか”的なとこがやっぱりあるんですね。でも若冲の絵は一個もムラがないんですよね。
茂木:あぁ、それは本当に鋭いと思います。焦点が全部に当たってるんですよね。
大野:そう、そうなんですよ。
茂木:これがすごいです。逆に言うとね、我々も自分にとって大切な所を描くんです。例えば人間だと顔がやたらと大きかったりとか。
大野:そうですね。
茂木:これが、ある意味人間らしい絵の描き方なんですけど、大野くんの言うように、若冲って全部描いてるんですよね。
大野:描いてるんです。一回探したことあるんですよ。ムラはどこだ?でも本当に何もないんですよね。
茂木:大野くんが踊ったりするじゃないですか。
大野:はい。
茂木:我々、それを見てすごく感動しますよね。それってそこに込めてる努力っていうかエネルギーの量が伝わってくるわけですよ。嵐が踊ってるときに。若冲の絵も同じで、ものすごいエネルギーと時間をかけているから。生き物ってあるシグナルがあるときにその後ろにあるエネルギーの量が大きいとそれだけ真剣に受け止めるんですよね。
大野:はい。やっぱ若冲の中では何年も鶏を見たっていう積み重ね、で描いたっていうその、やっぱそれが出てるんでしょうね。ものすごく。
茂木:と、ボクは思います。伝わるんですよね、それが。
大野:ありますよね、それは。
茂木:伝わったでしょ、それは、最初に見たとき。
大野:本物見たときは、なんかもう固まりましたもん。
茂木:で、2時間?
大野:2時間(笑)。



鶏と会話し鶏の動きを真似る大野さん。茂木さんが「タモリみたい!」とおっしゃっていましたが、なるほど、なりきる雰囲気はイグアナの動きを忠実に真似るかつて見た事のあるタモリに似ていないともいえない。お2人に共通するのはゆるさと鋭さの絶妙なバランス。違うのは大野さんのビジュアル。少年のようなきめ細かい肌ときれいな瞳…。閑話休題。鶏を「にわとり」という言葉で片付けちゃうとそれ以上脳は考えない。大野さんはかつて、踊りは1回で覚えるより100回かけて覚えたほうがいい。といったことをおっしゃっていたように思います。生き物は踊りだったり絵だったりの裏側にこめられたエネルギー量の大きさを受け止めるとういうお話を真剣に聞く大野さんの凛々しいお顔が今も脳裏に焼きついています。それはすなわち、そのときの大野さんの後ろにあったエネルギーの量がとても大きかったということなのではないか。人を感動させるのは、話している言葉だけじゃない。聞いている表情から伝わるものもあるんだなって思いました。内側を刺激するたくさんの言葉と向き合って凛とした気品をただよわせた大野さんに胸キュン。

| 若冲ミラクルワールド | 08:44 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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