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2012.06.12 Tue
第9話(6/11)16.0%「はかられた男」
原作 貴志祐介 脚本 仁志光佑
大野さん中心の自己満レポートです。
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チーム榎本はこれまで8回も難解な密室事件を解決し、それなりに親密度も増してきた。だけど芹沢が、天才榎本に親愛の情をこめて「は~い、エノモッちゃん元気?」と電話越しに言ったって、同じテンションの返事は期待できない。案の定、榎本は「おかげさまで、特に身体的異常はありません」と、相変わらずの抑揚のない声と愛想を知らない受け答えだ。悩ましいのは、その耳心地いい可愛い声。電話の向こうの能面のように無表情なのにキュートな顔を想像すればつい二つ返事で力になってやりたくなる。榎本はそんな愛されキャラなのだ。榎本が芹沢に頼んだのは、とある貿易会社の法律相談。そこには、六つの錠前が並ぶ頑丈な扉、窓には鉄格子、そして防犯カメラを備えられていた。社長の冨樫(岩松了)のいかつい風貌に芹沢は、不安をおぼえる。取締役野々垣(哀川翔)が榎本に知り合いのように声をかけた。野々垣もまた堅気とは思えない風貌で、驚いた芹沢が聞くと、3日前に会社で副社長が眉間を撃たれて死亡する事件が起き、壊れたドアの鍵を直すため派遣されたのだという。警察は、事件を自殺と他殺の両方から調べていたが、榎本は、自殺ならこめかみを撃ち抜くのが自然だと話す。他殺の場合の容疑者は、八田(鈴木亮平)という人物だった。八田には美沙という小学生でしっかりものの愛娘がいた。財布を届けに来た美沙が榎本に「可愛い顔、タイプ!」と微笑む。榎本の目が泳ぎ体がわずかに揺れる。動揺が隠しきれない榎本なのだ。三人で会社を出ると、榎本は社長に「越後の幻」という銘酒を貰ったという。グレーでもブラックでもお構いないし、仕事があれば相手を選ばない。ブラックな方たちを前に終始緊張する青砥が動じない榎本を引き立てている。
その八田が密室で銃口を口に当てて死んだ。そして、美沙が事件の解決を芹沢に依頼した。
東京総合セキュリティの備品倉庫は鍵もかかっていないし誰でも入れる。無防備なのは、住人榎本とそっくりだ。危うくも清々しいほどの無防備さだ。野々垣が予告もなく訪れると榎本は証拠品を素早くポケットにしまった。ドスの効いた声と言葉の前に青砥も榎本もなすすべもなかった。それを救ったのは普段は三枚目の芹沢のことば。「あなたは暴力だけが人間を服従させる唯一の武器だと思っていらっしゃるようですが、我々弁護士には法律という武器があります。そのことをよく覚えておいてください」野々垣が倉庫を去ると、芹沢の足がふらついた。愛すべき芹沢。みんな暴力は怖いんだ。それでも法律でそれと立ち向かおうとする芹沢と密室を破るため手を緩めない榎本に私は本当の強さを見たように思う。今回の一番の見せ場は、犯人を前に謎解きをする場面。哀川翔の存在感に対し穏やかで冷静な榎本を大野さんは演じきった。銃口を向けられ社員さえひるんだその状況でひとり一歩も引かない存在感をみせたのだ。社長が「俺たちに証拠はいらねえんだよ。…なんだこの姑息なやり方は、男のやるこっちゃねぇ」ブラックに見えていたが堅気の仕事に乗り換えていたこの会社のなかで、堅気になりきれず、過去のやり方から抜けきれず人間の道までも踏み外した男を好演した哀川翔。その狂気を底知れぬ存在感で受けて立った大野智。心がざわめきその迫力に震えました。
美沙に「じゃあ、お礼に結婚して」って言われた榎本が「いっしょにあそぼ」って差し出された右手を見つめる。はじめてのデートのようなぎこちなさで榎本は左手を差し出した。ブランコに座る榎本をみて私はホッとした。今回は本当にハラハラドキドキさせられたから、この最後には救われました。
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2012.06.05 Tue
第8話(6/4)15.4%「犬のみぞ知る」
原作 貴志祐介 脚本 岡田道尚
大野さん中心の自己満レポートです。
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人気漫画家・中田文恵(渡辺めぐみ)の仕事場でデスク越しに淡々と密室について語っていた榎本がカメラに合わせて180度向きを変えた。仕事中そのままのデスクを背景に肘掛け椅子に座る榎本はその場にしっくり収まり、まるでそこが榎本の仕事場であるかのようで、「人が一日に得る情報量の約八割は目から入ってくると言われていますが今回の事件だけは決して目で追ってはいけません。匂い、音、感情、見えないものにこそ真実は隠されています」語りかける言葉には、研究者の風格さえ漂うのだ。
機を見るに敏なエリート弁護士芹沢は、出演した朝の情報ワイドショー「めざましテレビ」で、ひょんな成り行きから密室事件の謎を解くことを明言してしまった。日本中の注目を集めてしまった面倒な案件を解決するために呼ばれたのは、ベージュ系のVネックのセーターに黒いニットタイが上品に決まった、エリート弁護士以上にキレる男、榎本だった。中田史恵の仕事場での検証のあと、隣家の防犯カメラの設置を頼まれた榎本が「わかりました。担当のものをすぐに手配します」という。榎本は密室を破るだけじゃない。敏腕社員でもあるのだ。備品倉庫に戻った芹沢、青砥、榎本の3人。芹沢は事故しかありえないと主張し、一人階段の中程に腰をかけ話を聞いていた榎本に同意を求めたが、榎本は、「僕は完全な密室だなんて一言も言ってません」そして「それが他殺であるならば破れない密室なんてこの世に存在しません」と芹沢に毅然と言い放つのだ。評価も地位もあてにはならない。ここには、世間が注目する敏腕弁護士をちょっと上から目線で言い負かしてしまう小気味いいほどに鋭く賢くあきらめを知らない天才榎本がいるのだ。世間の評価なんてまるで気にしない美しき天才に胸キュンです。
何者かに荒らされた殺人現場で、腰高本棚にちょこんと座り割れた窓ガラスの断面をルーペで見つめていた榎本が殺された文恵の姪友香(志田未来)に状況の説明を受けると、静かに頭を上げ、わずかに眼球を動かした。固く結ばれ少し突き出た唇が難問に挑む榎本の心情を雄弁に物語る。全てのデータを時系列に整理しわずかな矛盾も許さない覚悟を感じる寡黙な榎本。備品倉庫で榎本が芹沢と青砥に言放つ。「実際には餌で手懐けられない犬はほとんどいません」実際には…の言葉に私は反応してしまうのだ。この人はやっぱりその道のプロなのか?と、時々見せる実践に基づいた詳しすぎる知識が榎本の闇を想像してしまう。まったくドキドキさせてくれる方だ。
「私、今回の件で見直しちゃいました。普段は大人しいけど、いざとなったらすっごく頼りになるなって……」どう考えても榎本だ。榎本のことを言っているとしか考えられない。だから榎本が錠前を前にリズミカルに擦り合わせていた右手の動きをとめて「そうですか」って返事をしたときは、もうこちらまで胸キュンだったのに…。青砥はかなりのSだ、それも天然の。すねた榎本が「知りません」を連発し擦り合わせる右手を青砥が握って止めた。手を離した右手は激しくリズムを刻み続けていた。普段は冷静な榎本がすねたり焦ったり…。二人の距離がもどかしくもちょうどいい感じ。
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2012.05.29 Tue
第7話(5/28)16.1%「狐火の家」
原作 貴志祐介 脚本 相沢友子 演出 加藤裕将
大野さん中心の自己満レポートです。
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山の中の築100年の古民家が舞台の今回。霧の中にひとり浮き立ってみえるのは今日もインテリカジュアルが素敵な榎本径。「ある不思議なことが起こったとき、それを超常現象という人と、科学で解明できる錯覚に過ぎないという人がいます。それはおそらく答えの出せない永遠のテーマなのではないでしょうか」そこに、下から上にのぼるひとかたまりの揺れる光。「さて、今のは…」榎本が静かに語りかけると、超常の世界の入口が開き、その甘い声にゾクゾクする。
霞んだ山の稜線が向こうに見える田園前のバス停(南郷町)で、長椅子にお行儀よく座っている榎本の青みがかったグレー系のコーディネートが実に知的。珍しい錠前を手に入れるため休日を使って長野までやってきたのだ。青砥にいわれるがまま、待っていたバスをやりすごす榎本はぼんやりとしてなんともかわいいのに、密室事件の現場では一転鋭くキリリと変わる。外国製の特殊な錠前を横から中腰でチェックする姿がなんとも面白いのは、榎本が敷居に腰を下ろさないからなんだろう。華奢な体なのに実は鍛え上げられた筋肉。いつでもどこでも苦もなく完璧な姿勢でいられる身体能力が現実離れした面白い動きとなる。またため息がでた。鍵部屋がコメディだと言ったら語弊があるかもしれないけれど、気味の悪い、重く暗いお話をここまで娯楽性の高くおしゃれなものにまとめあげたのは演出のセンスだといえると思います。最初に榎本と大野さんを結びつけた時点でこのドラマの成功の半分は約束されていたのかもしれません。音も無く人の背後に立ち、いきなり会話に入ってくる不気味さ。それを心待ちにさえしてしまう大野さんのビジュアル、声、オーラ。榎本が死体になりきって寝そべると、いきなり立ち上がり検証を始める。動くたび見つめるたびに目が離せなくなる。軒下を竹の棒でツンツン、二階の勾欄に乗っかったときには思わず冷やり、隅から隅まで検証しなければ気の済まない榎本のリズミカルな動きに見惚れていたら最後は美しいムーンウォークだった。そして、しゃがんだ視線の先にくっきりとみえたのは三つの何かを置いた跡。視線を近づけ食い入るように見つめていたのはミツバチの死骸。親指と人差し指でミツバチをつまみ上げると、画面は惜しげもなく大野さんの指紋までくっきり見える手をアップで映し出すのだ。 殺人事件のあった古民家の茶の間で榎本と青砥が二人向き合ってお茶を飲んでいるシーン。無表情の榎本が目線だけで心理的にどんどん青砥を追い込んでいく。怖いけど強がりの青砥をひとりでトイレに行かせるところなんか相当なSだ。それがすべて無意識だから憎めない。遠藤家に場所を移して青砥と謎解きに挑む榎本は、話をするうち謎に一歩近づいたのか右手の人差し指と親指でかすかにリズムを刻み始めると、大野さんの驚くほど反り返る親指に私は釘付け。(手タレを使わないでくれて本当にありがとうございます!) 膨大な知識を一気に披露するシーンよりも雄弁なのが視線だけで語るシーン、そしてそれは見飽きないほどに美しい。翌朝の榎本は、都会的で知的なビジュアルが瑞々しい若葉に映えて衣装も計算しつくされていた。林檎畑で脚立を見つめ考える榎本、村の自然を背景に歩く榎本。それはそれは美しかった。
東京総合セキュリティの備品倉庫で、休日に長野まで足を伸ばして手に入れた錠前の解錠に夢中の榎本。その手つきを見ていると実にセクシーで官能的。撃沈です。
次回OAまでに加筆し完成させたいと思います。
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2012.05.15 Tue
第5話(5/14)15.6%「鍵のかかっていない部屋」
原作 貴志祐介 脚本 相沢友子
大野さん中心の自己満レポートです。
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友人の新築の家で結婚式の招待状を受け取った青砥が、「あの人が彼なのかと思った」といわれたのは、今日もインテリカジュアルがシックで、右手に持った聴診器を窓ガラスにあて時折美しい左手で軽くノックをするように強度チェックをしている榎本だった。「やめてよ。榎本さんはただの……」青砥が二人の関係を表す言葉探しに行き詰まっていると、「おまたせしました……」気配が消えていたかと思うといきなりマックスの存在感でテリトリーの内側に立つ。話し出すと圧倒的なオーラが眩しいほどなのに、ひとたび自分の世界にひきこもると透明になる。その両極を瞬時に行き来する榎本が、表情を封印した美しくてカワイイ顔でぐんぐん迫って、抑揚のない声でセキュリティポイントをまくしたてた。そう、彼は東京総合セキュリティの敏腕社員なのだ。そんなとき、榎本のもとに届いた着信音が新たな密室事件へといざなう。依頼したのは刑事・鴻野(宇梶剛士)。結婚を控えた杉崎(新井浩文)が建てた新築の家が、引き渡し直後の震度4の地震で大きく歪んでしまった。無償の補修工事を引き受けた明新工務店の社長竹本袈裟男(田窪一世)が、その下見の最中に亡くなったのだ。刑事鴻野の腕の中にすっぽり収まってしまった榎本。それを容認できない芹沢が鴻野の腕を払って自分の腕の中に榎本を引き寄せた。しかし榎本は芹沢の腕を邪険に払うのだ。払った右手のしなやかな動きから誰にもなびかない凛とした孤高のオーラを立ちのぼらせて。芹沢の邪険に払われた左腕の行き場のことなどお構いなし…というわけだ。暗転して現れたのは超アップの大野さん。前頭筋と眼輪筋の隆起で動いた眉が榎本をしてもこの密室が難解なことを物語る。7.5cmの二つの開口部と壁に残っていたちぎれたテープに榎本が鋭い視線を向けると杉崎の目が泳いだ。ふたりの沈黙の芝居が空気を研ぎ澄ます。お馴染みの備品倉庫に先頭をきって入ってきた芹沢は鴻野への嫉妬を隠さない。榎本のアップに耐える美しい手が今日も思考のリズムを刻もうとしている。しかし鴻野はあっさり事故死の結論を出した。海千山千のこの刑事の上っ面な笑顔が不気味だ。大野さんが直径7.5cmの円の向こう側から横になってこちらを見つめている。私は思わず画像を静止して、顔を横にしてみる。なんだ、これは。ちょっと恥ずかしくなってしまった(笑)。歪んだ部屋で横になり開口部を見ていた榎本が両足をあげてクルリと立ち上がりもうひとつの開口部へ流れるようにステップを刻むと、自分の背より高いそれを背伸びして見上げ、思考のリズムを刻み始めた。青砥が野球部員を追いかけて颯爽と公園を駆け抜けた。戸田さんが足を引きずるほどの筋肉痛になってまでがんばった力走と今や見慣れた芹沢のお姉走り。まっ先に追いついたのは青砥だった。そして、静寂は訪れた。それを破ったのは、粗大ゴミシールの貼られた自転車で音も無く現れた榎本だ。初夏の柔らかで清々しい光が髪の毛にあたって輝いている。風がその髪を爽やかに揺らした。左手は自転車のハンドルを握ぎり、右手はまたリズムを刻む。遅れてきた芹沢が後ろの荷台に手をかけても全くぶれることなく思考を続ける榎本。何度アップになっても美しいその右手と瞑想する横顔に見惚れ、解き明かされる真実へ期待が高まったとき、右手はひねられた。「そうか、そうだったのか」方向を変えた榎本は、5月の風をきって涼しい顔で自転車を走らせる。その無駄のない美しい走りは駐輪場に自転車を止めるまでの間一瞬の隙もなく私を魅了した。榎本の隙のない理論と完璧な外観が纏わせるオーラは、時に腕力をも凌駕した凄みを備わせる。そして「密室は破れました」なんとカワイイ、優しい声。振り幅が大きすぎて、もはや心かき乱されっぱなしだ。
天才榎本は、芹沢と青砥というチームメイトを得て歪んでしまった人の心の闇を解き明かしてくれた。難解なのは人の心だった。榎本ををめぐる芹沢と鴻野のシーソーゲーム。芹沢が優位に立ち、結束を固めたチーム榎本に心を温めているとあのエンドロール。両者の対決の日は来るのか。履歴書の榎本のすべてを見透かしているかのような不敵な無表情から、闇がまたチラリと見えてゾクッとする。
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2012.05.08 Tue
第4話(5/7)15.5%「黒い牙」
原作 貴志祐介 脚本 相沢友子
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敏腕弁護士なのに三枚目役が回を追うごとに大胆で愛らしささえ漂う芹沢と優秀な若手弁護士で散らかった部屋は平気なのにゴキブリには潔癖な青砥がまた密室事件に巻き込まれた。和菓子屋の社長桑島が毒グモを飼育するマンションの一室で亡くなったのだ。彼らが相談に訪れたのは、あの東京セキュリティの地下備品倉庫の住人、天才鍵師榎本のもとだ。いかにも会社の給湯室から調達した感ありありの普段使いの湯呑茶碗と和菓子が置かれた机。このくつろいだ居心地のよさはなんだ、すっかりたまり場の様相を呈している。今回もイギリスの名門校に通う学生のようなトラディショナルなファッションに身を包み穏やかに話を聞いていた榎本が芹沢の「部屋は完全な密室だったそうだ」といったことばに反応する。冷静で緻密な脳が深く鋭い探究心を目覚めさせたのだ。右手がゆっくりリズムを刻む。理論を積み上げて導き出した小さな矛盾。それを静かに二人に語りかける榎本の深く真っ直ぐな瞳が美しい。3人が向かったのは桑島の飼育部屋のあるマンションで同じ間取の青砥の部屋。散らかった部屋を慌てて片付ける青砥。音も無く現れくつろぐ芹沢と素早く隙のない動きで検証をする榎本。コーヒーでも飲んでいこうなんて気持ちは更々ない。「つまり桑島さんが毒グモに刺されたとき現場は完全な密室だったということです」アップになった大野さんの凛々しい眉、無表情で瞬きしない悲しげな瞳、そしてふっくらとした唇に心を揺さぶられた私は話すたびに上下に動く喉仏に撃沈するのだ。完全な密室だった以上事件性はないという芹沢に個人的な興味からだと告げて周辺の情報を収集した青砥が和菓子を手土産に榎本のもとにやってきた。芹沢がいた時出されたものとはちょっと違う湯のみが出ているのが微笑ましい。片時も休まず解錠に取り組む榎本に、おもたせの和菓子を頬張りながら桑島が事故で亡くなったとは思えないという青砥が突然悲鳴をあげた。それまで全く声も出さず黙々と作業を続けていた榎本の視線が青砥をとらえた。再び作業を再開した榎本は「事故ではないですよ。桑島さんは殺されたんだと思います」と表情ひとつ変えず言うのだ。実に淡白で必要最小限なことしか語らないこの天才に翻弄される青砥と芹沢。だがそんな榎本もまた青砥のことばに動かされていた。東京総合セキュリティのパニックルーム サンプル展示場で榎本が考えていたのはあの密室事件。推理を立証するため立ち寄ったペットショップで出くわしたのは陸ガメ。カメに戸惑いの表情を浮かべながらも期待以上の情報を得て戻った備品倉庫にひとり待っていたのは青砥だった。立ち止まり戸惑う榎本に笑顔で振り向く青砥。いつもは榎本の前においてあるマグカップを持って話をする青砥が急に頭を下げた。それまで解錠をしながら聞いていた榎本は佳境に差し掛かっていたに違いない作業の手を止めた。縮まるふたりの距離がそうさせるのか謎解きのタイムリミットが近いからなのかドキドキが加速する。
備品倉庫で、女性の心に潜む狂気が自分の中にもあるのかもしれないとショックを受けたことを打ち明ける青砥に榎本は「ないでしょう」。錠前を開けようと動かし続ける手を止めてそれだけ言うとまた手が動き始める。解錠の音がして榎本の口角がわずかに動いた。それよりも榎本の口角を大きく動かしたのは青砥の差し入れたチョコレート。深い闇をのぞかせていた榎本の笑みは今、穏やかで柔らかなオーラを纏って天使のほほえみになったように私には見えました。
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